11月1日 18:47 |
第三十一章 月満ちるまで…。(後編[月夜のもとに] |
少し肌寒くなった陽気に合わせて炬燵と電気カーペットのスイッチを入れ、炬燵の上には数本の缶ビールと、おつまみを適当に並べた。 楓「アイツったら酷いのよ?あたしが誕生日に買ってきたケーキ食べて何て言ったと思う?!」 あれから缶ビール二本を開け、すでに出来上がっている姉は愚痴り始めた。 すみれ「何て言ったの…?」 私は柿の種とバターピーナッツをポリポリ食べながら相槌を打つ。 楓「うまい。けど…もう少し甘い方がいいな…。」 声を低くし、声色や仕草を真似しながら話を続ける。 楓「だったら自分で買ってこいっての!!」 カンッ!! 音を立てて炬燵の台の上に缶を置いた。そして何かを思い出したのか、声のトーンが変わる。 楓「昨日母さんから電話来てさ…。若くないんだからいい人見つけて家庭をもったら?って…。」 すみれ「お姉ちゃん…。」 そろそろやめにして休んだら?と言おうとした瞬間 楓「うぷ。おトイレ借りるね。」 バタバタとトイレの方へと駆け出していった。 すみれ(…大丈夫かなぁ…。) 困り顔をしながら缶ビールに口をつけた。 ドア一枚隔て、寄り掛かる人影がニヤリと笑った。 (るく) |
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