10月19日 20:54 |
第二十七章 静かに動き出す破滅の胎動[月夜のもとに] |
雪乃(…あの力ならあの事件は可能…?) 草薙「…どうした?顔色が悪いように見えるが…。」 光一朗と話をしていた咲耶が、雪乃の真正面に立ち、うつ向いた顔を覗き込む。 雪乃「え?あ、ううん…何でもないの。何でも…。」 その態度は明らかにぎこちないのだが、何でもないと言われた以上咲耶は何も聞かないことにしたようだ。 ―一方、成瀬と高坂を送ったすみれちゃんは光一朗が駆け上がっていった石段の一番下まで来ていた。 何も言わずいきなり走っていった光一朗が気になるらしく、石段を上るか、それともここで待つか考えていた。 その横を黒ずくめの人間がすり抜けるように通り、別の道へと入っていったのを目で追う。 すみれちゃん「…?今の人もしかして…。」 光一朗「あれ?先生、こんなとこでどうしたの?」 石段を下りてくる三人の先頭にいた光一朗が、すみれちゃんの姿に気付きありのままの感想を述べた。 すみれちゃん「あなたがいきなり走っていったから、二人を先に帰して待ってたんです!!」 すみれちゃんはそう言うと腕組みをしながら怒ってますと、口には出さないものの態度で表す。 (るく) |
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