10月19日 19:01 |
第二十六章 ミズチの策略‐不安‐[月夜のもとに] |
草薙「…縛呪!!」 周囲の草木がザワザワとざわめき始め、伸びた枝や茎や蔓が魑魅魍魎目掛けて集まった。 シュルシュルシュル…。 目に見えて伸びていくそれらは、魑魅魍魎を縛り上げるように絡み、まとわり付いていく。 やがてそれは一つの大きな球体となり、さらに力を増し、音を立てながら縛り上げていく。 俺と雪乃は言葉を失い、ただ目の前に作り上げられていく緑色の球体を眺めることしかできなかった。 ギリギリギリギリ…。 草薙「…終わりだ。」 溜め息混じりに言葉を紡いだ彼女に答えるように、緑色の球体の中からさっきの小人のくぐもった声が耳に届く。 魑魅魍魎「グ、グガア…アガッ!!」 パンッ!! 緑色の球体の中で何かが弾けるような音が聞こえると、縛り付けていた草木の枝や蔓はその力を弱め始めた。 シュルシュルシュル…。 ほどけていった中から出てきたのは小石や草木の葉。先程の小人は姿形すら残ってはいなかった。 俺と雪乃は顔を見合わせ小石と木の葉を恐る恐るつついてみた。 草薙「…もう襲ってくることはない。」 雪乃(さっきの力は一体…?) 雪乃の顔だけが曇っていく。 (るく) |
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