10月7日 22:30 |
第九章 闇夜に見(まみ)える者[月夜のもとに] |
眼鏡の女性「…人間の男はこうも単純で、愚かな生き物なのか?」 男「な、何なんだ…あんたは…。」 全身を締め付けられ、身動きひとつとることができない。 眼鏡の女性「そうね…自分を殺した相手の顔くらい目に焼き付けておきたいわよね…。」 ひどく冷たく言い放つ言葉一つ一つに反応するように、体から冷や汗が出て緊張感が増していく。 眼鏡の女性「見せても構わないけど…貴方の気が正常でいられるかしら…?」 ブン! 首を絞めている腕ごと振り回され、今まで背中ごしに話していた相手の方へと体を向けさせられる。 男「…!!な、何なんだ…これは…。」 目の前に広がっていた光景は、あまりにも現実離れし過ぎていて言葉を失った。 白い肌をした四つ首の大蛇が赤い舌をチロチロと出していたのだ。 首を絞めていた腕はいつの間にか太く固い鱗に覆われている胴になっており、徐々に締める力を上げていく。 ギリギリギリギリギリギリ……。 男「…くっ…。ば、化け物…。」 ???「陰陽五行、木。一陣の風纏い、邪気を切り裂け…。」 意識を失い始めた耳に林の奥から小さな声で誰かが喋っているのが微かに聞こえた。 (るく) |
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