10月7日 20:58

第八章 自ら招いた運命(さだめ)[月夜のもとに]
眼鏡を掛けた女性は、落ち着かないような態度をしながらこう続けた。

事件の犯人に繋がるかもしれない情報を偶然手に入れた…。

ただ、その事が原因で犯人に命を狙われている。だから話をするなら人目を避けた場所にして欲しい…と。

話を聞かなければ犯人に繋がるかどうかは判断しにくい。正直眉唾物ではあるが…。

男「…わかった。あの奥の林でいいか?」

指差した方には噴水があり、その奥には夜の闇色に染まった林が見える。

この時間ならカップルの一組や二組が居てもおかしくないのだが…この公園は近々拡げる工事をするらしく、人の気配は全く感じられなかった。

林の中に入り、思った以上に暗くなっていることに気付く。

男「…そろそろ、話してくれないか?もう人気もない場所に来たんだし…。」

眼鏡の女性「………。」

背中ごしに話し掛けても返事ひとつ返ってこない。もう少し先に行ってみれば話してくれるか…?そう思った瞬間。

トン。

背中に心地よい暖かさと重みを感じた。それと同時に腕を首に巻き付けてくる。

男「何を…。」

ギリギリギリギリ…。

男「がはっ。まさか、あんたが…!」

眼鏡の女性「フフ…。」
(るく)
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