10月4日 22:21 |
第五章 守るもの、守られるもの[月夜のもとに] |
マスコミの男が去り際に見せた背中に、俺達は親の敵を憎むような目付きで睨み付けた。 女の先生「ほら二人とも、急がないと遅刻になっちゃいますよ?」 そう言いながら先生は、右手の人差し指を立ててこちらに向けて微笑んだ。 この先生は俺達のクラス担任の朝比奈 菫先生。今年先生としてこの学園に来たばかりで、年齢はあまり離れてない上に身長も高くないから『すみれちゃん』って愛称でみんな呼んでいる。 菫「今のヒトに関しては先生達でなんとかします。だから君達は気にしないでしっかり勉強してくださいね?」 晃「了解であります。んじゃ行こうぜ光一朗。」 晃は菫先生に、刑事物のドラマで良く見る敬礼をまねすると、腕を下ろしながら俺の方へと目を向けた。 光一朗「ん?ああ…。」 気にするなと言われて、気にならないと言うことはまず無い。 でも今ここで考えて解決できるような問題でもないのは確かだ。 親の脛をかじりながら社会に出る為に勉強している子供の言葉が、ああいう大人に易々通用するとは思えない。 大人に守られなければ自分すら守れない…。そんな自分に歯痒ささえ感じた。 (るく) |
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