第三十九章 深き眠りより目覚める力[月夜のもとに]
ギリギリギリ…。
胸の辺りを圧迫され、呼吸もままならない。
次第に意識が遠退いていき、身体から力が抜けていく…。
遠ざかる意識を、藁にもすがるような思いで繋ぎ止めていたのも、結局は無駄だったのだろうか…。
気だるさと酸欠で朦朧とした耳に、微かに声が届いた。
???「嫌だよ…助けて…。光一朗…。」
その小さな声は、今俺を拘束しているはずのありかのものだった…。
力を振り絞り微かに開いた目蓋に見えたのは、真っ赤に染まった目から涙を流すありかの顔…。
光一朗(ありか…。そうか、お前も戦ってるんだな。負けて…らんないよな…。)
キイーン…。
携帯に着けている赤い水晶の勾玉が微かに光を放ち始める。
親戚の人から御守りにと渡されたものだ。
初めは赤い色が血の色みたいで嫌がっていたのだが…親が偉い神社の神主だか、有名な占い師だかに見せた所「厄災から身を守る力がある。」と言われたらしく渋々着けている。
水晶の勾玉から発せられた光は少しずつ俺の身体を覆い、それにつられるように朦朧としていた意識がはっきりとしてきた。
光一朗「…ありか。悪い。」
俺は右腕と右足に力を込めた。
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