第三十八章 親しき操り人形-マリオネット-[月夜のもとに]
ありか「う、うーん…。」
ありかはゆっくりと伏せていた顔をあげ、眠たげな瞼を手の甲でしきりに擦り始めた。
ありか「…こーいちろぉ…?」
まだ微睡んだ状態なのか、呂律が上手く回らずに舌足らずな声を発している。
光一朗「…ったく。こんなとこで寝てると風邪引くぞ?」
そう言うとありかの座っている椅子に掛けてあったフリースの上着を背中にそっとかけた。
ありか「……………。」
左手の手の甲で目蓋を覆い隠す様にした状態のまま、何一つ声を上げず動きが止まってしまった。
光一朗「おい、ありか…?」
また居眠りでも始めたのかと、顔を覗き込もうと姿勢を低くして話し掛けたその瞬間
ガッ!!ダンッ!!
目を閉じたまま振り向き様に、両手で肩をいきなり掴まれ、そのままの勢いで壁に叩き付けられた。
光一朗「げほっ、いきなり何すんだ…ありか!!」
ありか「…ふふ。つかまえた」
ありかは耳元でそう囁くと肩を抑えたまま、正面に立って閉じていた目を開いた。
光一朗「……な、ありか…お前…。」
開いたその瞳は血の様に紅く、冷たい光を宿していた。
まるで人間ではない何かに操られているかのように…。
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