第三十七章 暗闇の学園で待つもの[月夜のもとに]
コツ…コツ…。
夜の学園は静寂に包まれ、自分の歩く音だけが廊下にこだまする。
反響音が聞こえてくる度に、深い闇からの言い表せない不安と背後にまとわりつくような恐怖心に、心を少しずつ支配されていくのがわかる。
ワケもなく嫌な感覚から周囲を警戒しながら進んでいく。
ギネス級のお化け屋敷や、曰く付きの心霊スポットの中に1人取り残されてしまった。
そんな感じさえしてしまうくらいだ。
コツ…コツ…コツ。
廊下を進んでいくとある教室に明かりが見えた。
光一朗「…ふぅ…。」
人は暗闇の中で感じる不安や孤独感は、火や光などの明るさに触れることで一時解放されることがある。
心理的な反応によるものなのだろう。俺は1つ溜め息をつくと肩の力に抜いた。
教室にいたのは机に伏せた体勢のままの小鳥遊ありかだった。
気持ちよく寝ているものを起こすのは気が引けるが、電話の内容も気になり、避難させた方がいいだろうと判断し起こすことにした。
光一朗「ありか、起きろって。」
肩を軽く二、三度ゆすって声をかけた。
ありか「…………。」
熟睡しているのか起きる気配は全くない。
ありか「…ん…う、ん…。」
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