第三十四章 時満ちて‐ミズチ覚醒‐[月夜のもとに]
学園には今まで以上に増えたマスコミが説明を求めて押し寄せたらしく休校の連絡が入った。
保護者とマスコミの対応で授業どころじゃないんだろう…。
ヴー…ヴー…。
鞄に入れていた携帯に着信が来たらしく、唸るような振動がそれを知らせる。
光一朗「…この番号は…。」
携帯の画面に表示された番号はありかや晃、雪乃のどれとも一致しないものだ。
知らない番号に出るのは正直気乗りしないが、鳴り続けているのは用があるからだろうと通話ボタンを押す。
光一朗「…もしもし?」
???「…遅い。やっと通じたか…。」
電話の向こうから聞こえてきたのは落ち着いたトーンの女の子の声。草薙咲耶だ。
光一朗「…なんで君が俺の携帯知ってるんだ?」
草薙「学園に電話したついでにお前の番号を聞いた。話したいことがあるからな…。」
ちょっと待て。そんな簡単に個人情報教えていいものなのか…?それとついでにって…。
草薙「今から昨日の神社に来い。話はそこでする。じゃ…。」
プツッ、ツーツー…。
なんなんだよ…。話があるから電話かけてきたくせに、一方的に用件言って切りやがった…。
光一朗「昨日の神社…か。」
Blood Cross#3漆黒を切り裂く白銀の光[BC+]
両親の無惨な姿を思い浮かべ、冷静に振る舞っていた瞳に強い憎しみが宿り、拳には自然と力が込められた。
娘「私はあの時から誓った…。せめて両親の負った痛みや苦しみを貴方にも味あわせられるのならと…。」
娘「これが私の背負った10年間の苦しみ…。貴方にはわからない、わかる筈がない!!」
黒衣の男の間合いに入り、自分の背中へと右手を回す。その手には鈍く光を放つ金属製の短剣が握られていた。
ドンッ!!!
娘の握る短剣が黒衣の男に深く突き刺さる。手を通して感じるのは肉を貫く抵抗。それとほぼ同時に腹部に感じる違和感。火傷をしたような熱を帯びた痛み…。口の中に広がる鉄くさい味…。
黒衣の男「聖銀の短剣とは中々面白いことを考える…。だが、今一つ足りないものがある。残念なことだ…。」
娘の腹部を抉るようにして刺し貫いていたのは、黒衣の男の左腕だった。背中まで貫通した腕をゆっくりと引き抜く。
ズ、ズズ、ズルゥ…。
娘「く、うぐっ…。」
ポタ、ポタポタ…。
引き抜かれた腕から真っ赤な血が滴り落ちていく。それはやがて赤い血の池へと変わっていった。
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