第三十一章 月満ちるまで…。(後編[月夜のもとに]
少し肌寒くなった陽気に合わせて炬燵と電気カーペットのスイッチを入れ、炬燵の上には数本の缶ビールと、おつまみを適当に並べた。
楓「アイツったら酷いのよ?あたしが誕生日に買ってきたケーキ食べて何て言ったと思う?!」
あれから缶ビール二本を開け、すでに出来上がっている姉は愚痴り始めた。
すみれ「何て言ったの…?」
私は柿の種とバターピーナッツをポリポリ食べながら相槌を打つ。
楓「うまい。けど…もう少し甘い方がいいな…。」
声を低くし、声色や仕草を真似しながら話を続ける。
楓「だったら自分で買ってこいっての!!」
カンッ!!
音を立てて炬燵の台の上に缶を置いた。そして何かを思い出したのか、声のトーンが変わる。
楓「昨日母さんから電話来てさ…。若くないんだからいい人見つけて家庭をもったら?って…。」
すみれ「お姉ちゃん…。」
そろそろやめにして休んだら?と言おうとした瞬間
楓「うぷ。おトイレ借りるね。」
バタバタとトイレの方へと駆け出していった。
すみれ(…大丈夫かなぁ…。)
困り顔をしながら缶ビールに口をつけた。
ドア一枚隔て、寄り掛かる人影がニヤリと笑った。
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