第二十三章 彼女が語る真実[月夜のもとに]
???「あの男は、神代学園の数名の生徒と教員関係者について調べていたらしい…。」
突然話し始めた彼女の台詞を無言で聞く。やはりこの子は何かを知っている。自分の推量だった考えが確信に変わった。
???「メモ帳に調べていた者の名前が書かれていた。お前の名前もあったぞ…佐伯、光一朗。」
彼女は真っ直ぐに俺を見据えながら名前を呼んだ。
光一朗「俺も、あんたに聞きたいことがある…。」
???「…さくや。草薙咲耶だ…。」
光一朗「じゃあ、草薙さん…。君はこの事件の何を知って、何の目的で犯人を追ってるんだ…?」
目を瞑り、何か考え事をしてゆっくりと語り始めた。
草薙「…この事件の犯人は人外の化物…。満月の夜に、今まで襲い、喰らってきた魂を使って真の力を手に入れようとする…。それを阻止し、滅するのが私の一族の…使命。」
想像以上に彼女の語った言葉は重かった。人外の化物…真の力…一族の使命。
少し困惑した頭を整理しようとした時、聞き慣れた声が耳に届いた。
???「こうちゃん?あ、やっぱりそうだ。今日はお参りですか…?」
巫女服を着た長い黒髪の少女がゆっくりとこちらに歩いてきた。
第二十二章 石段の先に見えるもの[月夜のもとに]
長い石段を勢いよくかけ上がる。両脇は生い茂った草木に囲まれ、さながら樹木のトンネルのようになっている。
やがて視線の先には石造りの鳥井が姿を表した。
タン、タン、ダンッ!!
石段の一番上に着くと、両膝に手をつき、肩で大きく息をしている自分の身体を支えた。
光一朗「…ハァ、ハァ、ハァ…フゥ。」
目の前に佇む神社はそんなに古いと言うわけではないが、どことなく歴史の重みの様なものを感じてしまう。
寺社は古くから聖域であると言われている。そういう人の気を引き締める力の様なものが働いているからなのかもしれない。
光一朗(さっきの、あの子はどこに…?)
光一朗「フゥ…ハァ…。」
肩で息をしている自分を落ち着ける為に一つ大きく深呼吸をした。
???「…何の用だ?」
落ち着きはらった女の声が耳に届く。声の主は腕組みをしながら、石造りの鳥井に寄り掛かっていた。
光一朗「…あ。いや、その…。」
初対面の人間にどう切り出したらいいか考えていると、向こうから口火を切ってきた。
???「お前、あのマスコミの男と親しいのか…?」
光一朗「え?なんでそんなこと…。」
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